2021年6月30日、エースコンバットシリーズは26周年を迎えた。シリーズの開発を行うチーム「ACES(エイセス)」はアップデート、各種コラボ商品の展開、オーケストラの開催など、最新作エースコンバット7の発売から2年半が経過した現在もアクティブな動きを見せている。
その一方、次回作への言及は2021年7月2日現在までほぼ皆無。2019年の秋に海外メディアのインタビューで、次回作までのロードマップを作ったという旨の発言があったが、新型感染症蔓延により、ロードマップは大幅な軌道修正が行われたと思われる。また、新世代ハード(PS5/XBOXシリーズX・S)の発売、世界的な半導体不足などに起因する新世代ハードの品薄など、2年前とは状況が異なることを考慮すると、次回作のアナウンスはもうしばらく先になりそうだ。
今回は26周年という節目もあり、Twitterで次回作についての要望を集めてみた。その結果をここで紹介してみたい。
アンケート告知のツイートは以下のとおり。1名につき、エースコンバット8に求めること3つを挙げてもらった。回答者は114名、合計293の要望を頂くことができた。ここでは多い項目から順に見ていこう。黄色文字は意見の抜粋。
●世界観&ストーリーに関する要望(34票)
エスコン7よりも簡潔でわかりやすいストーリー
キャンペーンのストーリー分岐
ACXみたいなプレイヤーの行動によってミッションと展開が変わっていく
過去作の主人公がさりけなく登場するストーリー
作戦中の戦果、行動によるストーリーの分岐
ストーリーは0、4寄りがいいなぁ
ストーリーに過剰に依存するの、止めませんか?これはゲームですよ。
複数のエース部隊をキャンペーンに
一部の意見を抜粋したが、様々な声が寄せられた。特に多いのが「ストーリー分岐」で、この項目の3割を占めている。エースコンバット6、7では基本的に一本道のストーリーだったが、Xのようにプレイヤーの行動に応じたストーリー分岐があれば、周回も楽しくなりそうだ。その一方、分岐システムはストーリーの正史が複数になるというデメリットもある。この辻褄合わせが課題となるだろう。
ほかには登場キャラクターの掘り下げ、ZEROのような複数エースが登場するストーリーという声がある一方、ストーリーへの依存は控えてほしいという声も。これは、過剰なストーリー演出よりもフライトシューティングとしての土台を固める……という意見なのかもしれない。
●兵装の自由度と威力バランスに関する要望(33票)
特殊兵装の多種搭載。臨機応変に戦闘できるようにしたい
特殊兵装の複数搭載機能(搭載種類の数によって搭載数が変動するとか有れば尚良い)
複数特殊兵装選択可(多少機動性が鈍るなどデメリットありでもいいので)
特殊兵装2種積み(弾数半減してもいいから)
XやX2にあった通常ミサイル枠も選択できる機能の復活
TLSの強化
特殊兵装に関する要望が非常に多く、その大半は「特殊兵装の複数搭載」である。04以降のエースコンバットは、基本的に1回の出撃の際、1つの特殊兵装しか搭載できない。対地・対空任務の場合、空対空ミサイルと投下型爆弾を持っていきたいシーンは少なくない。例えば、兵装搭載重量が各機体ごとに決まっていて、規定重量のなかで複数搭載できるのはどうだろうか。MSLを50発/4AAMを20発/UGBを10発、MSLを50発/4AAMを35発/UGBを0発、または特殊兵装を搭載しない代わりにMSLを100発……という具合に、プレイヤーが各兵装の搭載数を出撃前に決めることができれば、戦略の幅が広がりそうだ。そのほかTLSの強化、A-10の機銃強化など、キャンペーンモードにおける兵装威力調整の声も目立った。
●ミッション内容に関する要望(29票)
AC5、AC7のように超兵器同士のぶつかり合いをもうちょっと濃厚に
オフラインでもやり込めるモード(PWのようなコンクエスト、アーケードなど)
ストイックなエスコンもいいけど爽快感あるエスコンもやりたいんじゃ
無人機は少なめにしてほしい
シューティングゲームとしての爽快感の維持 無線会話優先で待機するミッション進行、近年頻発しているゲーム上で最優先攻撃目的でありながらの無敵演出を挟むなどのギミック、シナリオによる強制力の改善
プレイヤーを縛るタイプのギミックは最小限に
X2のSPミッションみたいにひたすら空戦で敵を倒すモード(エグい難易度で協力プレイできると最高)
意見は概ね2つの方向性に分けられた。ひとつは「自由度が高く爽快感のあるミッション」、もうひとつは「エンドコンテンツになりうるSPミッション」。エースコンバット7では、敵味方識別が必要だったり、天候がレーダーを邪魔したりと、一部のミッションはプレイヤーにストレスを与えるものが存在した。もちろん慣れで回避できたり、爽快感のあるミッションもそれなりに用意されていたものの、ギミックステージが厳しいという意見は少なくない。次回作では、もっと気持ちよく飛べるミッションの割合を増やすことが求められている。また、ストーリーに縛られないシングルプレイのやり込みミッションを……という声も多い。ZEROやX、X2のSPミッションのような、お祭り感覚で過去のエース達が集うものがあれば楽しそうだ。
●プレイアブル機体の充実化(28票)
中国機デビュー
J-20、FA-50 、JF-17 、テジャスなど最近の機体を追加
機体の追加(J35 , J37 , A-1 , F-5E , Mig-25 , F-105 , Su-25 等)
中国他未参戦機体の追加
歴代プレイアブル機全機実装
中国軍機やその他未登場な機体の実装(F-105,F-111,ミラージュF1,Mig-23など)
エースコンバット7の登場機体は、現在のところ39機体。有料DLCで発売後に追加されたこともあり、過去作と比べても決して少ないわけではなくなった。しかし、未だ実装されていない機体もある。今回のアンケートで特に目立ったのがJ-20をはじめとする中国機の参戦。以前、ACESの河野BDのTwitterにて、中国の航空機メーカーから資料が送られてきたというエピソードが紹介された。中国の航空機メーカーは、本作収録に意欲的なことからも実現の可能性はありそうだ。ただしACESと航空機メーカー、ファンに熱意があっても諸々の国際事情がそれを困難なものにするかもしれない。
そのほか、第3世代以前の古い機体を切望する声も多い。機体のモデリングは、ACESにある資料や過去のデータを元にリメイクする手法が取られているようで、INFINITYに存在したF-5やJ35Jなどの機体は、今後収録される可能性が高いはず。また、ACESの下元Pは、イベントで「戦闘機のテーマパークを目指したい」と発言していた。PS5世代機になるなら、再度モデリングのリファインをする必要があるかもしれないが、収録数の減少は多くのファンを失望させてしまうだろう。
●協力マルチプレイPvEの実装(24票)
マルチでCO-OP復活
マルチプレイにPvEやルール追加(X2やINF並に)
INFにあった協同戦線対戦モード
PvEの実装(対大型航空要塞等)
ACINFみたいな協同戦役、ストーリーとは別個だとなお良し
エースコンバット7がリリースされるまではINFINITYが最新作だったゆえ、マルチプレイモードに共同戦役(COOP)がオミットされて失望した人も多いのではないだろうか。私もそのひとりである。協力プレイの実装は、かなり早い段階で公式アカウントや河野BDに要望を送っていた人が多かったが、エースコンバット7のシステム上、現状は実装不可という回答をしていた。次回作(またはスピンオフ)で、協力マルチの実装が不可欠なのは改めて語るまでもなさそうだ。
●敵機の機動および演出の工夫と改善(21票)
変態機動ラスボス廃止
演出のための無敵状態の改善ないし廃止
PSMのUFO機動の修正且つもっとリアリティ(説得力)ある機動へ進化
04のような食らいついたら離さないレベルのAI
雑魚/ボス問わず、あまりにも理不尽な敵機の機動はやめて欲しい。前述のミサイルの性能も含めて、爽快感ある空戦を!
敵機のAIは、最新作ほど優秀とは限らない。X2のスレイマニ、AHのマルコフに代表されるボス級エネミーは、私たちが再現できない超機動でプレイヤーを苦しめ、苛立たせた。また、登場後の無線演出が終わるまで、こちらがどんなにダメージを与えても撃墜できない理不尽さがあった。その悪しき風習が最新作の7にも受け継がれ、ライバルエースのミハイと仲間の無線が終わるまで無敵状態となっている。ミハイが行うUFOのような超機動も、プレイヤーをげんなりさせる。その一方、04、ZERO、Xなどの過去作では、現実的な機動と敵のチームワークでプレイヤーを追い詰めてくるなど、評価できる部分が多かった。強制的な演出でシューティングゲームとしての爽快感を失っては本末転倒である。次回作ではこれらの改善は必須事項である。
●対人戦PvPのバランス調整(15票)
マルチプレイヤーモードに「部屋ごとの名前設定及び部屋ごとのコストの10単位調整、使用可能機体や兵装の詳細設定機能」の追加
タイマン機能追加
EMLの削除や他バランスブレイカー武装、あと魚に対する性能の見直し。
対戦は対地攻撃要素のあるモードの追加
機体性能、武装性能のバランス調整
eスポーツ化を見据えられそうなマルチ
エースコンバット7のマルチプレイは、対人戦メインのユーザー、カジュアルユーザーともに満足のいく仕上がりとは言えないものだった。まずひとつは、ルールがバトロワとチームデスマッチのみであること。このため初心者と熟練者の格差は時間とともに広がるばかりで、新規プレイヤーはなかなか気軽に参加しにくいこと。過去作のように対戦ルールを増やしてほしいという声は多い。
それから機体・兵装のバランスの悪さである。特にEML、PLSLのような無誘導兵器は、ある程度熟練したプレイヤーが使えば、他の機体を一方的に蹂躙することができる。また各機体や特殊兵装に設定されるコスト制がうまく機能しておらず、兵装間の性能格差は大きいままだ。ただし、本シリーズは実在機や実在ミサイルをモチーフとした兵装を扱うため、ある程度現実的な性能に寄せることも大切で、完全なバランス取りは難しいかもしれない。それよりもコスト制を機能させたり、ホストが禁止兵装を個別に指定できるシステムにするなど、設定事項を増やすことも解決案のひとつとなるはず。またeスポーツ化はエースコンバットの今後の可能性のひとつだが、視聴者側が俯瞰視点で観戦できるなど、エンタメ性を高めていく必要もありそうだ。
●味方への作戦指示など(15票)
5にあった僚機等からのプレイヤーに対する質問に対して はい,いいえ を方向キーで答える機能を復活させ、5 , ZERO , 6にあった僚機への指示機能も復活させる。
僚機の機体変更を可能に
僚機システムの復活
僚機システム復活。それに僚機に指示与えたら与えただけ経験値が貯まり強くなるとか
エースコンバット7も味方機がいたが、5、ZERO、6のような存在感は感じられなかった。僚機の心強いサポートは、多くの人が望んでいる。
●初心者も楽しめる難易度(13票)
チュートリアルモード搭載
難易度の緩和(明らかに可笑しい軌道はやめて欲しい、7で追加されたVeryEasyがEasyぐらいが理想)
キツくない制限時間
チュートリアルとか初心者に向けての救済策もっと乗っけて欲しい(布教しづらいので…)
初心者向けのチュートリアル機能 (5や6のようなものが理想)
10年ぶりのナンバリングだった7は、新規ユーザーよりも既存のファンへ向けた作品だといえる。客観的にみると7は決して難易度が高い作品ではないのだが、初めてプレイするユーザーへの配慮はやや欠けている。初心者は、エキスパート操作にすると飛行することもままならないはずだが、チュートリアルもなく戦場に駆り出されては、心が折れてしまう。軍事兵器用語、世界観の解説なども含め、エースコンバットの世界にスムーズに入れる導線作りは必要だ。
●リプレイ機能の改善&鑑賞機能の搭載(13票)
機体ビュワー(6みたいな動翼やウェポンベイの扉が任意で稼働するもの)
リプレイ映像をもっと自由に動かしたい(敵視点とか)
リプレイにキルカメラとフリーカメラ追加。
リプレイの巻き戻し
MODのようなカメラワークの自由性
リプレイスクショ機能の充実。グランツーリスモみたいにシャッタースピードまで変えられて流し撮りとか出来たら本当に最高。
ひと昔前よりもSNSでの交流が一般化したいま、スクリーンショットを通じた交流は非常に盛んである。PS4の機能で動画やスクリーンショットをキャプチャーできるようになったのも一因だ。エースコンバット7のリプレイ機能は、再生、スロー、早送りのみとなっており、狙ったショットを撮るのが難しい。巻き戻し、一時停止、さらにカメラワークも自在に動かせると、ファン同士の交流はさらに広がる。また、敵のユニットを含むモデルビューワーも、ミリタリーファンには嬉しい機能となるはずだ。
●操作性&インターフェースの要望(11票)
HUDの文字情報をもう少しコントラストを強くして見やすく
PSMなどの機動バランスは「絶ッ対に」変えないで続投
もっとHUDの色とか濃さとか位置とか変更出来るようにしてアクセシビリティ上げて欲しい
敵機の残HP表示。
7と操作性が変わりませんように
背景に無線の字幕が溶け込んだり、HUDが見えにくいという声が多い。特にフォントサイズが小さいため、字幕が見えないのは小さなストレスになる。また7になって機体の挙動が進化し、過去作よりも飛ぶ楽しさが増した。一方でPSMが実装されたことで、機体を振り回すこともでき、アクション性は格段に高まった。7で慣れた操作感覚は、大幅に変えて欲しくないという声もあった。また、Xのように敵のHP残量がわかるようにしてほしいという意見も、十分納得できるものである。
●大規模戦&野戦飛行場の復活(11票)
6のような戦場内での離着陸可
AC6のような大規模戦闘
AC6のような仲間と協力しての大規模戦闘
6のダイナミックミッションとか奪還した空港で補給出来るやつとか復活して欲しい
6の野戦飛行場復活(空母にも着艦できればなお良し)
ここの項目のほとんどは、エースコンバット6の痛快なシステムを再び実装して欲しいという要望。6は、味方軍勢が敵軍勢に一斉攻撃ができるなど、戦場が生き生きと描かれた。また敵に占領された飛行場を奪還すれば、そこで機体整備も可能だった。次回作では、ただの張りぼてマップではなく、各施設に機能を持たすことができれば、今まで以上の臨場感が味わえそうだ。
●スキンエディットの実装(11票)
スキンカラー変更やデカール貼りつけなどのスキン制作機能(スキンの共有機能もあるとなお良し)
スキンの自由度を上げてほしい(主翼、尾翼、機首で独立してエンブレム選択、機番号設定可能、AHのようなカラーエディット復活など)
機体カラーやエンブレムの自由なエディット機能
AHのようなカラーカスタマイズや複数のエンブレムを自由な位置に貼り付けれる機能。
エンブレムや国籍マークなどがある程度自由に編集可能で、AHのような既存のスキンから一つ選んで新たに保存が出来る形にする
ジャンルは違うが、グランツーリスモSPORTはリバリーエディタ機能が、遊び方の幅を大きく広げている。このシステムがエースコンバットにも導入されれば、アクティブユーザーはさらに増えるはず。
●機体カスタム&育成に関する要望(6票)
機体強化要素の追加 愛機をもっと愛でさせろ
MiG-21やF-5のような初期機体でも、経験値や機体強化によってゲーム終盤でも活躍できる仕様にしてほしい
特定の機体を長く使えばその機体が使いやすくなるようなカスタマイズパーツの導入
弱い機体性能を補うのではなく基本となる性能をより高めてくれるカスタムパーツ
パーツ前提とした機体性能マイナス調整の改善、パーツセット登録枠の実装またはパーツシステム自体の廃止
INFINITYでは、お気に入りの機体のレベルを上げることで、長く愛用することができた。機体育成は、調整を間違えると性能のインフレに繋がりゲームバランスが崩壊する恐れもあるが、やり込み要素のひとつになる可能性もある。一方、7はパーツ搭載ありきの機体性能な一面もある。パーツシステムの見直しや調整も次回作の課題なのかもしれない。
●VRモードの拡張(6票)
キャンペーンモードの全ミッションVR対応
全ミッションVR化ならびOculs等PSVR以外のVR機器への対応
本編のVRモード化
VRモードは、エースコンバットの大革命と言える出来だった。7では3つの特別なミッションのみの実装だったが、次回作は全ミッションで実装して欲しいという声も多い。
●アサルトレコードの実装(5票)
解説やエピソードがあるアサルトレコードの復活を!
アサルトレコードを実装するなら、きちんとその人物に関する記述を
アサルトレコードの敵機(出来れば味方機も)情報に関する詳細な記述。自分が墜とした機体にはどんな人間が乗っていたか、撃墜後どうなったかを知る事でよりゲームの世界観に没入できる
エースコンバット7にもアサルトレコードはあるが、パイロットのテキストなどはなく、形骸化したお粗末なものに留まっている。160名以上のプロフィールやエピソードが盛り込まれたZEROのアサルトレコードと比較すると、かなり寂しい状況。次回作はZEROほど多くなくても、せめてネームド機のフレーバーテキストは実装してほしいところである。
●BGM&サウンドに関する要望(4票)
2みたいなフュージョンロックのような曲で壮大な空戦をノリノリで闘いたい。
7の爆発音を継承して欲しい(ただしそれに付与する炎の音は今作で変えて欲しい)
エンジンサウンドの拡張(PVで聞けるような距離感などを感じるような音)
シリーズのBGMは、個人的にはかなり秀逸なものばかりだと感じる。実際、BGM絡みの要望はそれほど多くない。しかし、エンジン音、爆発エフェクトなど、SE関連のリアリティを期待する意見もある。特にエンジン音は、7では過去作に比べて迫力に欠けていた。
●その他(14票)
PS5世代機での発売
音速突破時のショックコーン演出の復活
"missionクリエイト機能"ズバリACE版"マリオメイカー
トロコンやエンブレム、スキン解放にマルチプレイを絡ませないで欲しい
そのほか、さまざまな意見が寄せられたが、PS5世代での発売は個人的に重要だと感じている。発売時期を考えると、PS4世代との縦マルチではなく、完全に次世代機に移行したあとで、全く新しい空とシステムを魅せてくれることを、なによりも期待している。
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