開発経緯
フェアチャイルド・リパブリック社が開発した近接航空支援用攻撃機がA-10。第二次世界大戦時、同社が開発したレシプロ戦闘機P-47
サンダーボルトに由来する「サンダーボルトII」の愛称を持つことで知られている。1960年代から始まったベトナム戦争では、低速でも飛行可能で地対空兵器にも対応できる近接航空支援に特化した機体の需要が高まり、これを受けてボーイング、セスナ、フェアチャイルド、ジェネラル・ダイナミクス、ロッキード、ノースロップの6社からそれぞれ設計案が提出された。1970年にはノースロップ YA-9A、フェアチャイルド YA-10Aが試作され、1973年には後者が制式採用。1975年の量産型初飛行を経た後、1977年からアメリカ空軍に配備され、現在(2021年)でも現役で運用されている。
機体概要
機体は真っ直ぐに伸びた直線的な主翼が大きな特徴で、これにより低高度・低速度での高い運動性を確保している。多くの戦闘爆撃機よりもさらに低速で飛行でき、旋回しながら目標を攻撃可能。単座となるコックピットはチタン製の装甲で守られているほか、二重化された油圧系により、機体がある程度損傷を受けても基地に帰還できる高い防御能力を備えるのも特筆すべきポイントだ。エンジンは主翼後方の胴体上面に配置。ゼネラル・エレクトリック社製TF34-GE100ターボファンエンジンが2基搭載され、556km/h(A型)の速度で巡航可能となっている。
兵装
翼下には合計11箇所のハードポイントが存在し、投下型爆弾として「ペイブウェイ」、「マーク80爆弾」、「JDAM」、対地ミサイルとして赤外線誘導の「AGM-65マーベリック」、自衛用の短距離空対空ミサイル「AIM-9 サイドワインダー」などを搭載可能。さらにA-10を特徴付けるのが、固定武装として30mm徹甲弾を使用するガドリング砲(GAU-8アヴェンジャー)の搭載で、対戦車戦などで多大な威力を発揮する。機体バリエーションは、初期の量産型であるA-10A、グラスコックピットを採用した改修型のA-10C(2005年〜)が存在する。そのほか、複座型実験機であるYA-10Bもあるが、これは量産化されず1機のみが試作されたに過ぎない。
エースコンバットでは?
エースコンバットシリーズでは初代作品から登場し、以降も「3」を除く全ての作品に収録されている。プレイアブル機のほか、敵機体としても頻繁に登場し、「5」以降の多くの作品ではミサイルを3発当てないと撃墜できないなど、実機と同様に防御力の高さが再現されている。また、「5」では実験機のYA-10Bが唯一収録された作品で、強力な対地兵装「FAEB」を運用できた。A-10系は、主人公のイメージ機体、敵エース機体としての出番こそないものの、比較的初期に入手可能なアタッカー機体として重宝されている。
主な兵装
AGM-65 マーベリック
ヒューズ社が開発した空対地ミサイル。弾体中央から後部にかけて伸びるデルタ翼、小型な形状が大きな特徴。A型はTV誘導方式だったが、赤外線画像を用いたD型も存在する。
マーク82
ダグラス・エアクラフト社が開発した航空機用爆弾。マーク80系の中では2番目に小さい500ポンドで、無誘導投下して目標を攻撃。尾部に高抵抗フィンを装備することも可能。
GBU-24B ペイブウェイIII
米国レイセオン社の精密誘導爆弾。マーク84爆弾にセミアクティブレーザー誘導装置を取り付け、目標に向かって落下する。ペイブウェイIIIは改良型のシーカーを採用。