開発経緯
アメリカの先進戦術戦闘機計画(ATF)に基づいて開発された第5世代ジェット戦闘機がF-22 ラプターである。1980年代初頭、F-15の後継となる次世代戦術戦闘機が提案された。第4次中東戦争では地対空ミサイルや対空火器によりイスラエルの航空機が多大な損害を出し、これらを分析したアメリカ国防省は、ステルス性と超音速巡航(スーパークルーズ)を次世代戦闘機案に要求。1986年、ロッキード社とノースロップ社が発注を受け、それぞれYF-22とYF-23が2機ずつ製造された。その後多くの評価試験を行った結果、1991年にF-22のプロトタイプであるYF-22を選定。1998年から本格的な試験飛行が行われ、2005年からアメリカ空軍に実戦配備された。なお輸出は行われておらず、アメリカ空軍以外は運用されていない。
機体概要
機体は全長18.92m、翼幅13.56m、全高5.08mと、F-15よりも短く幅が広い。ステルス性を重視したことで、レーダー波を吸収する素材や塗料が用いられている。主翼は変形デルタ翼形状で、外側に傾けた2枚の垂直尾翼も特徴的。エアインテーク、エンジン排気システム、コックピットなどもレーダーに発見されにくい工夫が盛り込まれ、より高いステルス性を実現している。エンジンは、プラット・アンド・ホイットニー社製のF119-PW-100を2基搭載し、アフターバーナー無しでの最大巡航速度はマッハ1.58に達する。アフターバーナーを使用した際は最大速度はマッハ2.42を実現。また、2次元式推力偏向パドルを採用することで、高い機動力も確保した。アビオニクスでは、APA方式のAN/APG-77を火器管制用レーダーとして採用。250km先の目標を探知できる能力を持ち、「ファーストルック・ファーストショット(先に見つけて先に撃つ)」という戦術を現実のものとした。またデータリンクにより、ほかのF-22と戦術情報を共有できることも大きな特徴となっている。
兵装
運用可能な兵装は、固定武装として「M61A2機関砲」を搭載。これに加え、胴体下面と左右側面にウェポンベイに各種ミサイルを格納し、ステルス性を損なわないように工夫されている。側面のウェポンベイには短距離空対空ミサイル「AIM-9M」または「AIM-9X」、下面のウェポンベイには中距離空対空ミサイル「AIM-120A/B」を4発、または「AIM-120C」を6発搭載する。なおステルス性は犠牲になるが、主翼下には最大4発の「AIM-9」と「AIM-120」を搭載。対地攻撃任務では「JDAM(GBU-32)」が搭載可能となっている。
バリエーション
バリエーションは、基本型となる「F-22A」のみが運用されている。当初は戦闘攻撃機を意味する「F/A-22A」と表記されたが、2005年以降は「F-22A」に戻された。複座型のF-22B、艦載機のF-22Nの開発も計画されたが後に中止された。そのほか、ロッキード・マーティン社からアメリカ空軍に、戦闘爆撃機「FB-22(ストライクラプター)」が提案されたが、こちらの計画もキャンセルされ、実機は存在しない。
エースコンバットでは?
エースコンバットシリーズでは、初代から最新作まで全作に登場し、本作の顔ともいうべき存在だ。そのため「1」、「04」、「7」、「X」、「3D」のパッケージ機体に選ばれている。特に「04」の主人公メビウス1のF-22は有名で、他のエースコンバット作品にもゲスト参戦する人気ぶり。逆に敵エースの機体としてピックアップされたことがなく、それが主役のイメージをさらに強めている。なお「5」以降では、実機が存在しないFB-22も併せて収録されることも少なくない。どの作品でも実在機の最強格として君臨し、これを入手すれば攻略が捗るのは間違いないだろう。
主な兵装
・M61A2 20mm機関砲
・AIM-120C AMRAAM
・AIM-9X サイドワインダー
・GBU-32 JDAM
・GBU-39
AIM-9X サイドワインダー
赤外線誘導方式の短距離空対空ミサイル。サイドワインダーの発展型で、中間慣性誘導を導入したほか、限定的な発射後ロックオン、オフボアサイト発射機能も備えている。
GBU-53/B
米国レイセオン社が開発した精密誘導滑空爆弾。移動目標の近くまで自らを誘導し、その後はミリ波レーダー、赤外線誘導、セミアクティブレーザー誘導により目標に到達。
AIM-120 AMRAAM
米国ヒューズ社が開発した中距離空対空ミサイル。アクティブレーダーホーミング方式を採用し、ミサイルの自律誘導を可能としたのが特徴。また、多目標攻撃能力も備える。