開発経緯
ノースロップ社(現ノースロップ・グラマン社)が開発した艦上戦闘機がF-14。トムキャット(雄猫)の愛称を持つF-14は、映画「トップガン」でも有名になった第4世代ジェット戦闘機の代表的な存在である。1960年代初頭、アメリカは可変後退翼を持つ次世代戦闘機開発を模索していた。この計画は、低空侵攻ができる戦闘爆撃機を求めていた空軍、長射程対空ミサイルの搭載や短距離格闘戦能力を求めていた海軍、どちらの要求も満たせる「プラットフォームTFX(Tactical Fighter Experimental)」と呼ばれるもの。これを受けてジェネラル・ダイナミクス社は試作機(後のF-111B)を製作したが、海軍の要求を満たすことができず採用が見送られた。その後、VFXプログラムと呼ばれる新たな計画が立てられ、5社の航空機メーカーが応札。最終的にF-111Bの設計を一部流用したグラマン社案が採用され、F-14の本格的な開発がスタートした。1970年に初飛行が行われ、1974年に海軍での運用を開始。アメリカ海軍のほか、イラン空軍でも運用されている。アメリカではF/A-18E/Fへと置き換えが進み、2006年に退役。現在はイランのみが運用国となっている。
機体概要
機体全長は18.87m、翼幅10.15〜19.55m、全高4.88mと、前任のF-4 ファントムIIとほぼ同じ大きさで、戦闘機としては大型な部類となる。最大の特徴は主翼に可変後退翼を持つことで、これにより翼幅は最大19.55mまで広がる。後退角は20度〜68度の間で自動的に作動。これに2枚の垂直尾翼を備え、コックピットは縦列複座式となる。胴体部分にはリフティングボディの技術が導入され、主翼以外でもある程度揚力を発生させる設計が採られているのがトピック。このため、高い翼面荷重ながらも高い格闘戦闘能力を持つといわれる。エンジンは、当初プラット・アンド・ホットニー社製TF30-P-412を2基搭載。しかし、推力不足やサージングによりフラットスピンなどの深刻なトラブルが起こりやすかったため、後にゼネラル・エレクトリック社製F110-GE-400が採用された。火器管制レーダーは、AN/AWG-9を導入。後部座席のレーダー迎撃士官の操作により、200km先まで探知可能となる。最大で24目標をロックオン可能で、6目標に長距離空対空ミサイル(AIM-54 フェニックス)を発射できる。
機体概要
F-14を象徴するのは、長射程空対空ミサイル「AIM-54 フェニックス」にほかならない。F-14専用兵器であるこのミサイルは、200kmの射程で、24目標の追尾、6発の同時発射が可能。ただし6発搭載時は空母への着艦が難しくなるため、実際に運用される時の搭載数は4発以下となるのが通例となっている。中間誘導はセミアクティブホーミング式、終末誘導はアクティブレーダーホーミング式を採用。このほか、中距離空対空ミサイル「AIM-7 スパロー」、短距離空対空ミサイル「AIM-9 サイドワインダー」、各種対地兵装も運用できる。
バリエーション
基本型となるF-14Aのほかにも、いくつか派生型が存在する。ゼネラル・エレクトリック社製エンジンへの換装、火器管制セットをAN/AWG-15HにアップレードしたF-14+(後にF-14Bに呼称変更)に加え、アビオニクスを強化したF-14Dも開発された。90年代に入って開発されたF-14Dは、デジタル化されたAN/APG-71レーダーの採用、グラスコックピット化などの改良が施されている。なお、F-14DにはA型を改修したものに加え、新規で製造されたものも存在する。ほかにも様々な近代改修型が計画されたが、実現することはなかった。
エースコンバットでは?
エースコンバットシリーズにおいては、3作目を除いた全ての作品でプレイアブル機体として使用可能となっている。AIM-54フェニックスをモチーフとした特殊兵装「XLAA」や「LAAM」を運用できるケースが多く、遠距離からの狙撃が得意。また、精密誘導爆弾「ペイブウェイ」をモチーフとした「GPB」を積めば、ある程度の対地攻撃任務にも対応可能だ。その一方、旋回性能は「並」に調整されており、ドッグファイトはそれほど得意な機体ではない。多くの作品でストーリー序盤〜中盤でアンロックされるため、F-4Eからの中継ぎ機体として愛用していた人も多いだろう。なお作中では、エースコンバット5のウォードッグ隊のイメージ機体であるほか、エースコンバットZEROの敵エース、シュネー隊の主力機体としても印象的だった。
主な兵装
・M61A1 20mmガトリング砲(固定武装)
・AIM-7 スパロー
・AIM-9 サイドワインダー
・AIM-54 フェニックス
・ペイブウェイ
AIM-7 スパロー
レイセオン社が開発した中射程空対空ミサイル。セミアクティブ・レーダーホーミング誘導方式を採用し、視程外射程が可能。航空自衛隊や西側諸国で広く運用されている。
AIM-54 フェニックス
ヒューズ社とレイセオン社が開発した長射程空対空ミサイル。F-14のみ搭載可能で、終末誘導はアクティブレーダー方式を採用。改良型AIM-54Cは巡航ミサイルにも対応。
GBU-24B ペイブウェイIII
米国レイセオン社の精密誘導爆弾。マーク84爆弾にセミアクティブレーザー誘導装置を取り付け、目標に向かって落下する。ペイブウェイIIIは改良型のシーカーを採用。