開発経緯
フランスのダッソー社が開発した第4世代多用途戦闘機がミラージュ2000。1950年代に登場した戦闘機ミラージュIIIやミラージュF1の後継機となる本機は、1970年代の次期戦闘機計画(ACF)として開発され、1978年に初飛行が行われた。1984年にはフランス空軍に実戦配備されており、後継機のラファールが配備された現在(2023年)でも第一線で活躍する。また輸出も盛んに行われ、インド、アラブ首長国連邦、ギリシャ、中華民国、カタールなど計8か国でも運用されている。
機体概要
機体の形状はミラージュIIIとほぼ同一で、尾翼を持たないデルタ翼が大きな特徴となっている。全長は14.4m、翼幅は9.1m、全高は5.2mと、F-16戦闘機よりさらに小型。しかし、操縦装置としてフライ・バイ・ワイヤとCCV(運動能力向上機)の設計が取り入れられた結果、デルタ翼機の弱点でもあるSTOL(短距離離着陸)性能の向上に成功している。エンジンは、スネクマ製M53ターボファンエンジンを1基搭載。それ以前のミラージュIIIやミラージュF1と同じく、胴体両側の半円型エアインテークが採用された。これにより最大速度マッハ2.2を実現している。
兵装
胴体下面に2門の「DEFA554 30mmリボルバーカノン」を固定武装として搭載。ハードポイントは左右主翼下に2箇所、胴体中心線に1箇所、主翼付け根に4箇所の計9箇所が設定され、赤外線追尾式空対空ミサイルの「MICA IR」、アクティブレーダーホーミング式の「MICA EM」、空対艦ミサイルの「AM39」、無誘導爆弾の「Mk.82」など、多彩な兵器を運用できる。
バリエーション
バリエーションは、単座式・初期量産型の「2000C」、本格量産型の「2000DA」、複座式の「2000B」、複座式・核弾頭運用型の「2000N」、2000Nから核兵器運用能力を廃した戦闘爆撃機「2000D」などが存在する。また、新型レーダーの搭載、MICAミサイル運用能力、グラスコックピット化された大幅改修型の「2000-5」も登場(単座式・複座式の両タイプを設定)。こちらは当初輸出向けとして生産されたが、ラファールが配備されるまでの間、フランス空軍にも配備された。そのほか、中華民国とカタールの2か国で「2000-5」が運用されている。
エースコンバットでは?
エースコンバットシリーズでは、PS2作品以降ほとんどの作品で登場するなど、プレイヤーに馴染み深い機体となっている。「04」ではライセンス許可を取得していないため「Mir-2000」という名称で登場したが、「5」以降の作品ではダッソー社との契約により実名で収録されている。「5」や「ZERO」では「ミラージュ2000」および「ミラージュ2000D」、「6」以降の作品では「ミラージュ2000-5」が登場。なお、「2」ではミラージュをベースとしたイスラエルの戦闘機「クフィル」をモチーフとする機体が収録された。いずれも比較的序盤で入手可能なマルチロール機で、機動性もそれなりに優秀。また、対地兵装が充実していることも概ね共通点と言えるだろう。敵エース部隊やライバル機としての登場はないが、「6」では味方の航空部隊としてプレイヤーをサポートしてくれた。
主な兵装
・DEFA 554 30mm機関砲 2門(固定武装)
・R.550 マジックⅡ
・MICA IR/MICA EM
・AM39 エグゾセ
・AS-30L
・マーク82
・BGL-1000
BGL-1000
マトラ社(現MBDA社)が開発したレーザー誘導爆弾。米国のペイブウェイと同様の原理を採用し、1,000kgの汎用爆弾に取り付けられる。10km程度の高度から攻撃が可能。
MICA EM
MBDA社が製造する対空ミサイル。MCIA EMはアクティブレーダーホーミング式を採用し、米国のAIM-120と比較すると小型なのが特徴である。発射後の中間指令誘導も可能。
AM39 エグゾセ
MBDA社が製造する対艦ミサイル「エグゾセ」。航空機発射型はAM39と呼ばれる。中途航程では慣性誘導、週末航程はアクティブレーダーホーミングによる誘導を行う。