開発経緯
ソ連のスホーイ設計局が開発した第4世代ジェット戦闘機がSu-27。NAROコードネームは「フランカー」。1960年代後半、新世代防空戦闘機として開発がスタートし、「T-10(フランカーA)」と呼ばれる試作機が製造された。T-10は1977年に初飛行が行われ、1982年には初期量産型「Su-27(ロシア語ではCy-27)」がロールアウト。1986年にソ連空軍での配備が始まった。フランカーは数多くの派生型が製造され、ソ連(元ロシア)空軍以外の諸外国にも輸出されている。中国ではJ-11としてライセンス生産も行われている。
機体概要
機体は、全長21.94m、翼幅14.7m、全高5.93mと戦闘機としては大柄で、これは仮想敵であるF-15と比べてもひと回りほど大きいサイズとなる。翼と胴体を一体的に設計するブレンデッドウィングボディを採用し、流麗で美しい機体形状が見どころ。同時期に開発されたミコヤン・グレヴィッチ設計局のMiG-29とは異なり、4重のアナログ式フライ・バイ・ワイヤを採用。大きな主翼、全遊動式の水平尾翼、2枚の垂直尾翼を持ち、胴体はコックピット下部まで伸びたストレーキにより大きな迎角での飛行を可能としている。またSu-27を始めとするフランカーシリーズは高い機動性を持ち、1989年のパリ航空ショーでは「コブラ」と呼ばれる空戦機動も披露された。エンジンは、リューリカ設計局のAL-31ターボファンエンジンを2基搭載し、最大速度はマッハ2.3に達する。
兵装
固定武装として「GSh-30-1 30mm機関砲」を一門搭載。主翼と胴体には合計10箇所(Su-27)のハードポイントが設定され、空対空ミサイル「R-27」、「R-73」、「R-77」、空対地ミサイル「Kh-29」、対艦ミサイル「Kh-31A」、「Kh-35」、「Kh-41A」、そのほか無誘導爆弾やロケット弾などが搭載可能となっている。
単座型Su-27系列
フランカーシリーズは多数の派生型が存在し、一大ファミリーを築いているのも特徴。初期の量産単座型「Su-27」は、後に「Su-27S(フランカーB)」と呼ばれる改修型が設計された。また、輸出向けとして「Su-27SK」も存在する。ロシア空軍向けの近代化改修型「Su-27SM」は2002年12月に初飛行が行われ、アビオニクスの強化、グラスコックピット化などが行われた。これはさらに「Su-27SM2」、「Su-27SM3」へと発展している。
複座型Su-27UB/Su-30系列
一方、複座練習機としては「Su-27UB(フランカーC)」が存在する。これは空力と重量のバランスを取るため、垂直尾翼が単座型より42cm高くなっているのが特徴。1986年には防空軍向けの複座・長距離迎撃機の開発がスタートし、試作機「Su-27PU」が初飛行。後に「Su-30」として量産に至る。また迎撃機の「Su-30」に対し、マルチロール機の「Su-30M」も開発された。これはカナード翼と推力偏向ノズルを搭載した「Su-30M2」へと発展し、1997年に初飛行が行われた。さらにN011Mバルス系列火器管制レーダーを搭載した「Su-30MKI(フランカーH)」系列が登場し、諸外国へ輸出された。これをロシア国内向けに再設計したのが「Su-30SM」で、タレス製大型広角HUD、Bars-Rの改良型レーダーなどでアップグレードされている。このほか、Su-27M(Su-35)で使用された大型垂直尾翼、カナード翼を持たない「Su-30MKK(フランカーG)」も開発されている。
艦載型Su-27K/Su-33系列
1987年に初飛行が行われた艦載機Su-27K。1998年には量産型Su-33(フランカーD)としてロシア海軍での運用が開始された。性能はSu-27に準ずるが、主翼前には全遊動式のカナード翼、折りたたみ式の主翼と水平尾翼を採用するのが大きな特徴となっている。また、複座式Su-27KUBの量産も検討されたが、こちらは不採用となった。
発展型Su-27M(Su-35)系列
輸出向けの発展型Su-27Mの初飛行が行われたのは1988年。後にSu-35(フランカーE1)と呼ばれるこの機体は、リューリカ設計局のAL-35Fターボファンエンジンを搭載し、N011バルス系列の大型レーダーを搭載し、機首まわりが太くなっているのが特徴。またSu-27系列には無いカナード翼、ハードポイントの増加、アビオニクスの強化など多岐に渡る改良が行われた。また、Su-35をさらに発展させたSu-37(フランカーE2/ターミネーター)も登場。こちらはエンジンがAL-37Fに換装され、コックピットは4基のカラー液晶型MFDを採用。推力偏向ノズルをフランカーとして初採用することで「クルビット」と呼ばれる空戦機動も実現している。なお、Su-35/Su-37ともに本格的な量産化には至らなかったが、その技術は後の派生型に活かされた。
次世代型Su-35系列
Su-27SM2から次世代を担う新しいフランカーとして開発されたのがSu-35。MiG-29から発展したMiG-35と同じく第4++世代ジェット戦闘機に分類される。Su-27Mから発展した初代Su-35とは別の機体であり、2008年に初飛行、2014年から運用が開始されている。Su-27系列と同じくカナードを持っておらず、背面のエアブレーキも廃止されたが、2次元推力偏向ノズルを採用し高い機動力を実現。エンジン、アビオニクスともに一新されている。
エースコンバットでは?
エースコンバットシリーズでは、初代作品からほぼ全ての作品で登場。当初はSu-27が収録されることが多かったが、「6」以降は艦載型Su-33に置き換わることが多くなった。また、現実世界では試作機に終わったSu-37が収録されている作品も目立ち、ファンから絶大な人気を集めている。「AH」では最新のSu-35(2代目)がお目見えし、「7」でもSu-35Sとして収録されている。同じく「7」では、複座型Su-30SM/Su-30M2が初収録され、敵エース部隊が搭乗。「2」ではパッケージ機(スカーフェイス隊)を飾ったが、「04」、「5」、「6」、「AH」、「7」ではライバル機として扱われることが多い。いずれも中盤〜終盤にかけて入手できることが多く、F-15をも上まわる高機動と強力な兵装が魅力の機体となっている。
主な兵装
・GSh-30-1機関砲(固定武装)
・R-27
・R-73
・R-77
・Kh-29
・Kh-31
Kh-31
ソビエト連邦で開発された中距離空対艦・レーダーミサイル。終末誘導にアクティブレーダー方式を用いる対艦型、パッシブレーダー方式を用いる対レーダー型がある。
R-73
ヴィーンペル機械設計局で開発された赤外線誘導式の短距離空対空ミサイル。ヘッドマウントディスプレイとリンクすることで、オフボアサイト射撃能力も持ち合わせる。
R-77-1
ヴィーンペル科学製造連合が開発したアクティブレーダー誘導の中距離空対空ミサイル。R-77-1は2009年に発表された改良型で、ECCM能力が向上したシーカーを採用する。