開発経緯
米国ロッキード社が開発した第2世代ジェット戦闘機がF-104 スターファイター。1950年代前半は朝鮮戦争の最中であったが、当時はシンプルな構造の機体に大きな出力のエンジンを搭載したMiG-15 ファゴットが空戦で活躍を見せていた。これを受けて開発されたのがF-104である。1954年に初飛行が行われ、その4年後となる1958年からアメリカ空軍での運用が始まった。なお、世界初の超音速ジェット戦闘機F-100 スーパーセイバー(ノースアメリカン社)から始まる、制式名称F-100番台の戦闘機はセンチュリーシリーズと呼ばれ、F-104もこれに属する。アメリカ空軍では1970年代初頭で退役し、F-4 ファントムIIなどに置き換えられた。しかしアメリカでの退役後も多くのNATO加盟国で運用され続け、過去には日本の航空自衛隊にも配備された。最も長い運用となったイタリアでの退役(2004年)まで、数多くの地域で長く用いられた機体である。
機体概要
機体(F-104G)は、全長16.69m、翼幅6.68m(増槽非装着時)、全高4.10mとF-16よりも長いが、幅の狭いサイズ。細長い胴体と先の尖った機首が外形の大きな特徴となる。主翼は、ダグラス社が開発した超音速実験機X-3を参考とした短い台形型の直線翼を採用。これに全遊動式水平尾翼、T字型垂直尾翼を組み合わせている。このため翼面荷重は大きくなり、離陸速度が高くなっている。また、高機動のMiG-15に対抗するという本来の開発目的から逸れ、制空戦闘機としてはドッグファイトに不利な構造となった。胴体左右には、固定式ショックコーンを備えたインテークを配置。エンジンは、ゼネラル・エレクトリック社製J79ターボジェットエンジンを搭載し、最高速度はマッハ2.2を実現。F-104は、米国機で初のマッハ2を超える高速戦闘機としても知られている。アビオニクス(A型〜D型)は、AN/ASG-14T索敵レーダー、TACAN、AN/ARC-34 UHFラジオを装備する。
バリエーション
F-104には数多くのバリエーションが生産された。試作機XF-104、前量産型機YF-104Aを経て、初期生産型のF-104A、A型の複座訓練型としてF-104B、改良型火器管制レーダー(AN/ASG-14T-2)を搭載し5箇所のパイロンを持つF-104C、C型の複座訓練型F-104Dが主力となる型式。C型は前述のパイロンにB28またはB43核爆弾の搭載も可能である。そのほか、多くの国でライセンス生産が行われた輸出向け戦闘爆撃機型のF-104G、日本の航空自衛隊向け迎撃戦闘機型F-104J、イタリア空軍向け迎撃戦闘機型F-104Sなどが存在する。
兵装
兵装は、固定武装として「M61A1 20mmバルカン砲」を搭載。このほか、翼端に2発の空対空ミサイル「AIM-9 サイドワインダー」または増槽を積むことができた。F-104C以降は胴体中心線と主翼下にハードポイントが設置され、翼端を含めてパイロンは5箇所に増設されている。こちらには投下型爆弾「マーク82」、クラスター爆弾、ナパーム弾などを搭載する。また、前述通り戦術核爆弾の運用もできた。イタリア空軍向けF-104Sでは、左右エアインテーク下の胴体と左右主翼下にもハードポイントが設定されており、中距離空対空ミサイル「AIM-7 スパロー」も運用可能となっている。
エースコンバットでは?
多くの作品では、時代設定が「架空の現代」ゆえF-104のような旧世代機体が収録されるのは稀だった。唯一、MiG-21がシリーズ常連で、ドラケンが時々収録されていた程度である。そんな中、エースコンバット7で初参戦となったのがF-104だ。本作の語り部であるエイブリル・ミードがスクラップ状態のF-104をレストアして飛ばすというオープニングシーンは、プレイヤーの心に深く印象付けることになった。ただし、プレイアブルとなるのはミッション4クリア後なので使用頻度はあまり高くないかもしれないが一定のファンを獲得している。機体性能は、旧型機ということもあり控え目。特にミサイルの数が少なく、弾薬が心許ない。しかしセミアクティブ空対地ミサイルのSAAM、高火力ミサイルHPAAが運用可能となるなど、空戦には比較的強い。カスタムと腕次第で格上の機体とも渡り合うことも不可能ではない。
主な兵装
・M61 20mmバルカン砲(固定武装)
・AIM-7 スパロー
・AIM-9B サイドワインダー
・ハイドラ70 誘導ロケット弾
・マーク80シリーズ
AIM-7 スパロー
レイセオン社が開発した中射程空対空ミサイル。セミアクティブ・レーダーホーミング誘導方式を採用し、視程外射程が可能。航空自衛隊や西側諸国で広く運用されている。
LAU-131/A
主に米空軍が使用する7ラウンドのロケットランチャー。固定翼からヘリコプターまで多くのプラットフォームで運用できる。ハイドラ70派生誘導ロケット弾を発射可能。
マーク82
ダグラス・エアクラフト社が開発した航空機用爆弾。マーク80系の中では2番目に小さい500ポンドで、無誘導投下して目標を攻撃。尾部に高抵抗フィンを装備することも可能。