開発経緯
ソ連のミグ設計局が開発した超音速戦闘機がMiG-21。1950年代前半、ミグは次世代のマッハ2級戦闘機としてYe-2とYe-4、2つの試作機を製作した。前者は朝鮮戦争で活躍したMiG-15から続く後退翼の機体、後者は水平尾翼とデルタ翼の機体である。また、同じくソ連のスホーイ設計局でも2機の試作機が製作され、それぞれ1955年に初飛行が行われた。ミグ設計局からはデルタ翼のYe-4が量産化に向けて開発され、MiG-21(NATOコードネーム:フィッシュベッド)の名前が与えられた。一方スホーイ設計局の試作機は、後退翼のSu-7(NATOコードネーム:フィッター)とデルタ翼のSu-9(NATOコードネーム:フィッシュポット)に発展。いずれも超音速性能を持つゆえ、現在では第2世代ジェット戦闘機に分類される。MiG-21は1959年にソ連で運用が開始されたが、さらに東ヨーロッパや中東、アジア、アフリカを中心に多くの国に配備され、諸外国でのライセンス生産も行われた。ソ連製の機体だけでも合計1万機以上が生産され、戦闘機のベストセラー機としても知られている。また、時代に合わせた改修を重ねることで、現在でも諸外国で運用されている。
機体概要
全長14.10m、翼幅7.15m、全高4.71m(MiG-21bis)は、同時期に設計されたSu-9やF-104よりもやや小型。機首にショックコーンが備わった葉巻型胴体の左右に1対のデルタ翼、水平尾翼、垂直尾翼を組み合わせ、スホーイ設計局のSu-9によく似た形状となっている。エンジンは、初期型のMiG-21Fにはツマンスキー R-11F-300ターボジェットを1基搭載するが、仕様によりエンジンも改修されていった。1970年代に大幅改修を受けたMiG-21bisでは、ツマンスキー R-25-300ターボジェットエンジンを搭載し、最大速度はマッハ2に達する。
バリエーション
生産数1万機以上で運用期間が長いこともあり、MiG-21には非常に多くのバリエーションがある。初期の生産型となるのは、1959年に初飛行を行ったMiG-21F(第1世代)。1950年代後半から1960年代は、全天候型のTsD-30Tレーダーを備えた初の量産型MiG-21PFが登場(第2世代)。1960年代半ばになると、MiG-21PFに偵察コンテナを搭載し、主翼下パイロンを4箇所に増設したMiG-21Rも開発された(第3世代)。また、これをベースにMiG-21S、MiG-21SMなども生まれた。1971年に初飛行したMiG-21bisは、胴体上部の膨らみが大きくなり、エンジンはR-25-300に換装した大幅改修型(第4世代)。これをベースに、改良された電子機器を搭載したMiG-21bis SAUは、ソ連で生産された最後の型となっている。このほか、複座型(例:MiG-21U)、ソ連国外でライセンス生産された型、1991年に初飛行が行われた近代化改修型MiG-21-93なども存在する。
兵装
多くの国で迎撃戦闘機として運用されているため、MiG-21に搭載できるのは空対空兵装が中心。例えば大幅改修型のMiG-21bisでは、固定武装として「GSh-23L 23mm機関砲」に加え、4箇所のハードポイントにセミアクティブ式レーダーホーミング空対空ミサイル「R-3R(K-13A)」、「R-13M(K-13M)」、赤外線追尾式短距離空対空ミサイル「R-60」を携行できる。そのほか、57mmロケット弾ポッド、投下型爆弾などの兵装も運用可能となっている。
エースコンバットでは?
シリーズでの初登場は「2」。この作品では、エンディング後に機体ラインアップが変更される「エクストラ」でプレイアブル機となった。「3」、「04」では残念ながら不参戦となったが「5」で復活。こちらでは、なんと「MiG-21bis」に加えて高性能版「MiG-21-93」も収録された。後者は第4世代戦闘機にも劣らぬ空戦能力を持ち、通好みの機体である。続く「ZERO」では、プレイアブル機以外に「5」に登場したフッケバインが乗るネームド機としても登場。その後も「6」を除く各作品に登場し、序盤から使える機体として親しまれた。「7」では初期機体とはならなかったが、年代を感じさせない高い機動性と強力無比なガンポッドを運用可能で、キャンペーン攻略はもちろんマルチプレイでもその力を発揮している。
主な兵装
・GSh-23L 23mm機関砲(固定武装)
・UPK-23 ガンポッド
・K-13
・R-60
・R-27
・57mmロケット弾ポッド
・240mm空対地ロケット弾
UPK-23 ガンポッド
ソビエト連邦のMMPP設計局で開発された外付けガンポッド。前部に単一の固定ツインバレルGSh-23L機関砲が配置され、後部には関連する23x115mm弾薬を250発収容。
UB-16-57UMP ロケット弾ポッド
60年代から運用されるソビエト連邦のロケットランチャー。UBとは標準的な爆弾用のハードポイントに搭載できることを意味する。16発のS-5ロケット弾を発射可能。
R-27ER
ソビエト連邦のヴィーンペルが設計した中距離空対空ミサイル。AIM-7スパローに対抗するべく開発され、R-27ER1はセミアクティブレーダー誘導型で射程距離を強化している。