開発経緯
ジェネラル・ダイナミクス社が開発した試作戦闘爆撃機がF-16XLである。1970年代後半、アメリカ空軍は老朽化が進んだF-111に変わる戦闘爆撃機の開発を模索していた。1981年には、制空戦闘能力と対地攻撃能力を必要性能とする強化型戦術戦闘機計画(ETF)を発表。これを受けて、マクドネル・ダグラス社はF-15B、ジェネラル・ダイナミクス社はF-16をそれぞれベースとする派生機の開発をスタートした。そこで誕生したのが、F-16を大幅に改修した試作機F-16XLで、1982年に初飛行が行われている。一方、マクドネル・ダグラス社はF-15Eを開発し、最終的にはF-15Eが採用されることになった。単座型および複座型合計2機のF-16XLが生産されたが、F-15Eに敗れた後はNASAの管理下に置かれ、飛行研究に利用された。現在はエドワース空軍基地で静かに眠っている。
機体概要
F-16がベースとはいえ、その機体外形はそれと大きく異なっている。主翼にはクランクトアローデルタ翼をを採用し、F-16と比べて翼面積が20%ほど大型化。なお、主翼にはカーボン複合材が用いられている。大型化した主翼により、水平尾翼や胴体下面のベントラルフィンは廃止された。これらの大規模な改修により、低速飛行時における安定性が高められ、攻撃機に要求される機能が備わることになった。エンジンは、Block 30以降のF-16と同じく、ゼネラル・エレクトリック社製F110-GE-129ターボファンエンジンを1基搭載。最大速度は、F-16とほぼ同程度のマッハ2.0を実現している。
兵装
F-16と同じく「M61A1バルカン砲」を固定武装として搭載。主翼下には計16箇所のハードポイントが設置され、無誘導爆弾「マーク82」を同時に12発運用することが可能。そのほか、空対空兵装として「AIM-9 サイドワインダー」、「AIM-120 AMRAAM」も携行可能となっている。
エースコンバットでは?
エースコンバットシリーズでは、F-16XLをモチーフとしたコフィン機「F-16XA」が「3」に収録されたが、F-16XLとしての初参戦は「5」。F-16の発展型として、マルチロック空対地ミサイル「XAGM」を運用することができた。その後も「ZERO」、「X」、「X2」では「XAGM」が機体のアイデンティティとされた。さらに「ZERO」では、ウィザード隊の機体として作中に登場するなど、敵エース部隊としても描かれている。「7」ではDLC機体として収録され、こちらは「UGB」や「4AAM」を搭載可能なアタッカーとして再注目を浴びた。対地攻撃をこなしつつ、F-16並みの空戦能力を備えたF-16XLは隠れた人気機体である。
主な兵装
マーク82
ダグラス・エアクラフト社が開発した航空機用爆弾。マーク80系の中では2番目に小さい500ポンドで、無誘導投下して目標を攻撃。尾部に高抵抗フィンを装備することも可能。
AGM-65 マーベリック
ヒューズ社が開発した空対地ミサイル。弾体中央から後部にかけて伸びるデルタ翼、小型な形状が大きな特徴。A型はTV誘導方式だったが、赤外線画像を用いたD型も存在する。
AIM-120C AMRAAM
米国ヒューズ社が開発した中距離空対空ミサイル。アクティブレーダーホーミング方式を採用し、ミサイルの自律誘導を可能としたのが特徴。また、多目標攻撃能力も備える。