開発経緯

　スウェーデンのサーブ社が開発した第4世代多用途戦闘機がJAS 39 グリペン。JAS 37 ビゲンの後継機として1980年に開発が始まり、1988年に試作初号機が初飛行。試験中に大破するなどのトラブルが重なったが、1996年には正式に自国での運用が開始された。機体名称の頭に付く「JAS」は、スウェーデン語でJakt（戦闘）、Attack（攻撃）、Spaning（偵察）の略で、運用コストを抑えつつ様々な任務をこなせることを意味する。また、高速道路の直線区間でも離着できるSTOL性能もグリペンの大きな特徴と言えよう。現在はスウェーデンのほか、南アフリカ、ハンガリー、チェコ、ブラジル、タイの空軍でも運用されている。
 

　機体概要
　機体形状は、前任のビゲンと同じく主翼とカナード翼を接近させたクロースカップルドデルタ形状を採用。これに垂直尾翼が1枚組み合わせている。大きなカナード翼は全浮遊動式となっており、着陸時にはカナードを直立させることで、エアブレーキとしての機能も有する。全長15.2m、翼幅8.6m、全高4.5m（グリペンE）のサイズは、ダッソー ミラージュ2000やF-16に近い。火器管制レーダーは当初エリクソン社製PS-05/Aを搭載。最新のE型またはF型ではガリレオ・アヴィオニカ社製のスカイワードGを装備し、より多くの目標の追跡が可能となった。エンジンは、A型〜D型まではRM12を1基搭載。これは、F/A-18に搭載されるゼネラル・エレクトリック社製F404-GE-400ターボファンエンジンをベースに、ボルボ・エアロ社が改良したもの。一方E型とF型は、F/A-18E/Fのエンジンを改良したF414-GE-39Eを搭載し、アフターバーナーを使わずにマッハ1.1での超音速巡航を可能とした。いずれも最大速度はマッハ2.0を実現。

　兵装

　固定武装として「BK-27 27mm機関砲」を1門搭載。主翼と胴体下面に設置される合計8箇所（E/F型では10箇所）のハードポイントには、近距離空対空ミサイルとして「AIM-9L／AIM-9X」、「IRIS-T」、「ASRAAM」、「パイソン4/5」、中距離空対空ミサイルとして「AIM-120 AMRAAM」、「ミーティア」などを搭載可能。また空対地ミサイル「AGM-65 マーベリック」、「ブリムストーン」、空対地巡航ミサイル「タウラス」、空対艦ミサイル「RBS 15F」、偵察ポッドシステムなど、幅広い兵装を運用できる。

　バリエーション

　バリエーションは、初期の単座型「JAS 39A」と複座型「JAS 39B」に始まり、アビオニクスを改良した単座型の「JAS 39C」と複座型の「JAS 39D」が存在する。このほか、機体の大型化、F414エンジンへの換装（これにより超音速巡航を実現）、アビオニクスの強化、グラスコックピット、大型液晶ディスプレイの採用などを実現した大幅改修型の「JAS 39E」と「JAS 39F」が2016年に運用開始された。E型は単座、F型は複座で、両者とも「グリペンNG」と呼ばれることがある。

　エースコンバットでは？

　エースコンバットシリーズでは、当時実在世界で運用されたばかりの最新戦闘機にも関わらず、初代作品に「SF-39」の名称で初収録。その後、多くの作品で収録されている。過去作品は主にC型が収録されていたが、「7」では最新のE型を初収録。いずれも小型軽量であることを活かし、軽快な操縦性を持つのが特徴となっている。また「ZERO」ではベルか空軍インディゴ隊が愛用する機体として登場した。

・BK-27 27mm機関砲 1門（固定武装）

・AIM-9L／AIM-9X

・IRIS-T

・ASRAAM

・AIM-120 AMRAAM

​・ミーティア

・AGM-65 マーベリック

​・KEPD 350