開発経緯
ジェネラル・ダイナミクス社(現ロッキード・マーティン社)が開発した軽量戦闘機がF-16。「ファイティングファルコン」の愛称を持つF-16は、高性能かつ高価なF-15とは対照的に小型で安価な戦闘機として開発され、アメリカ空軍では「ハイ・ロー・ミックス」運用が行われている。1974年に行われた試作機YF-16の初飛行から4年後の1978年、アメリカ空軍に単座型F-16Aと複座型F-16Bが配備された。その後イスラエル、ギリシャ、エジプト、台湾、タイなど多くの国々にも輸出され、戦闘機のベストセラーとして現在でも幅広く運用される。
機体概要
機体は、全長15.03m、翼幅9.45m、全高5.09mと、ダッソー・ミラージュ2000よりもやや大きいサイズ。胴体と翼を一体成型するブレンデッドウィングボディを採用するほか、操作を電気信号に変換して伝えるフライ・バイ・ワイヤ方式の導入など、当時としては革新的な技術が盛り込まれた。大きな主翼、水平尾翼、垂直尾翼を持ち、機体下面の半円形エアインテークも機体形状の特徴となっている。エンジンは、試作機からBlock25まではプラット・アンド・ホイットニー社製のF100を1基搭載するが、Block30以降はゼネラル・エレクトリック社製のF110も搭載可能。後者を搭載した機体は、マッハ2.0の最大速度を実現する。
兵装
固定武装として胴体左舷に「M61A1バルカン砲」を1門搭載するほか、主翼先端部と6つの主翼下ハードポイントには多様なミサイルを搭載可能。具体的には「AIM-7 スパロー」、「AIM-9 サイドワインダー」、「AIM-120 AMRAAM」を代表とする空対空ミサイル、「AGM-65 マーベリック」、「AGM-158 JASSM」を代表とする空対地ミサイル、「マーク80シリーズ」や「JADM」を代表とする投下型爆弾、クラスター爆弾、ロケット弾など幅広い武装を運用でき、軽量戦闘機でありながら多くの任務に対応できるマルチロール性も備えている。
バリエーション
バリエーションは、大別すると初期型(Block1〜Block20)のF-16A/B、1984年から配備された能力向上型(Block25〜Block50)のF-16C/D、2003年に初飛行した発展型(Block60〜)のF-16E/Fが生産された。B型、D型、F型はそれぞれ複座機となる。またE/F型はグラスコックピット、タッチパネル式カラー液晶ディスプレイなどを導入して大幅にアップデートされた機体で、2021年現在はアラブ首長国連邦が運用している。アビオニクスを強化したBlock70以降はF-16V(インド向けはF-21)と呼ばれる。そのほかの派生型として、F-16をベースに開発された航空自衛隊のF-2、試作戦闘爆撃機F-16XLも存在している。
エースコンバットでは?
エースコンバットシリーズでは、初代から最新作までほぼ全ての作品で登場。PS2までの作品では序盤に入手可能な第4世代戦闘機として重宝されていたが、「6」や「7」では初期機体として使用可能となった。多くの作品ではUGBや4AAMなど対地・対空兵装を備え、そこそこ機動力も高いため使い勝手に優れた機体となっている。作中エースとしては「ZERO」のズィルバー隊の機体としても印象深い。また友軍では「6」のウインドホバーが搭乗していた機体でもある。
主な兵装
・M61A1 バルカン砲(固定武装)
・AIM-7 スパロー
・AIM-9 サイドワインダー
・AIM-120 AMRAAM
・AIM-132 ASRAAM
・AGM-65 マーベリック
・AGM-158B JASSM
・AGM-84 ハープーン
・マーク80シリーズ
AIM-120C AMRAAM
米国ヒューズ社が開発した中距離空対空ミサイル。アクティブレーダーホーミング方式を採用し、ミサイルの自律誘導を可能としたのが特徴。また、多目標攻撃能力も備える。
GBU-24B ペイブウェイIII
米国レイセオン社の精密誘導爆弾。マーク84爆弾にセミアクティブレーザー誘導装置を取り付け、目標に向かって落下する。ペイブウェイIIIは改良型のシーカーを採用。
AIM-132 ASRAAM
英国MBDAが開発した短距離空対空ミサイル。赤外線誘導方式を採用し、ヒューズ社が開発したフォーカル・プレーン・アレーによる高感度シーカーが特徴となる。