開発経緯
ソ連のミコヤン・グレヴィッチ設計局が開発した迎撃戦闘機がMiG-31。MiG-25の大幅改修型で、ソ連(現ロシア)で初の第4世代ジェット戦闘機と言われている。NATOコードネームは「フォックスハウンド(Foxhound)」。冷戦下において、アメリカ合衆国ではXB-70やSR-71などの超音速機が開発されていたが、これらを迎撃するために開発されたのがMiG-25。しかし、時代とともに低高度で侵入する核搭載の巡航ミサイルや爆撃機が脅威と考えられるようになり、これらに対応すべく開発されたのがMiG-31である。MiG-25を原型に1968年に開発がはじまり、1975年に初飛行を実施。1982年には国土防空軍に配備され、500機以上が生産された。ソ連崩壊後はロシアのほか、カザフスタンでも現役で運用されている。
機体概要
機体は、全長21.6m(ピトー管含まない)、翼幅13.46m、全高6.15mと、マクドネル・ダグラスのF-15よりやや大きい。原型となるMiG-25からの変更点は、単座から複座となったこと、主翼構造の強化とストレーキの採用、チタンやアルミニウムの使用を増やし軽量化を実現などが挙げられる。また、パッシブフェーズドアレイレーダー「ザスロン」を搭載し、ルックダウン・シュートダウン能力を高めた。エンジンはアビアドビガーデルのD-30F-6ターボファンエンジンを2機搭載。大型化されたエンジンに合わせ、ノズル形状も変更されている。最大速度は、MiG-25ではマッハ3.2を実現したが、MiG-31はマッハ2.83に留まっている。最大巡航速度はマッハ2.35で、戦闘機のなかでは際立って速度の高い機体といえる。
兵装
固定武装として「GSh-6-23 23mmガドリング砲」を胴体右舷に装備。固定武装を持たないMiG-25とは対照的だが、現在ロシア空軍では機関砲の弾薬は積んでいない。胴体下面には長距離空対空ミサイル「R-33」、「R-37」を4発搭載可能。さらに翼下のパイロンには「R-40」、「R-60」、「R73」の空対空ミサイル、MiG-31Mではアクティブ誘導ミサイル「R-77」も搭載できる。MiG-31BMでは、対艦/対レーダーミサイル「Kh-31」なども運用可能となっている。
バリエーション
生産初期型のMiG-31のほか、「ザスロンA」レーダーを搭載し空中給油プローブを標準装備した量産型のMiG-31Bが存在する。また、1985年には能力向上型のMiG-35Mの初飛行が行われた。こちらは後席にCRT多機能ディスプレイが3基装備され、操縦系統はデジタル式のフライバイワイヤを採用。レーダーも「ザスロンM」に変更されている。NATOコードネームは「フォックスハウンドB」。また、MiG-31MのアビオニクスをMiG-31Bに導入したMiG-31BMも既存機体の改修型として存在する。
エースコンバットでは?
エースコンバットシリーズでは、初代からほとんどの作品でプレイアブル機として収録される。圧倒的な最大速度と耐久性を持つ機体として特徴付けられ、他の機体と大きく差別化されている。「5」ではMiG-31と改修型のMiG-31Mが同時に収録されたほか、「INFINITY」と「7」ではMiG-31Bとして登場。一方「ZERO」のシュバルツェ隊の搭乗機体としても有名。機動性は低く扱いにくさはあるが、シリーズの中でも存在感は高い。
主な兵装
・GSh-6-23 23mmガドリング砲(固定武装)
・R-40
・R-33
・R-37
・R-60
・R-73
R-40RD
MiG-25の主兵装として開発され、後にMiG-31にも採用された空対空ミサイル。R-40Rはセミアクティブレーダー誘導、R-40Tは赤外線誘導を採用する。飛翔速度はM4.5。
R-33S
R-40の後継として、ヴィーンペルが開発した長距離空対空ミサイル。爆撃機などの大型目標への攻撃を主目的としている。慣性誘導とセミアクティブレーダー誘導を採用。
R-73
ヴィーンペル機械設計局で開発された赤外線誘導式の短距離空対空ミサイル。ヘッドマウントディスプレイとリンクすることで、オフボアサイト射撃能力も持ち合わせる。