開発経緯
スホーイ設計局が開発した防空戦闘機Su-27フランカーを大幅改修したのがSu-35である。これは、1988年に初飛行が行われた旧Su-35(Su-27M)と名称は同じだが全く異なる機体となっており、旧Su-35ではカナード翼が与えられるのが特徴だった。一方の新型Su-35はカナード翼がなく、機体形状はSu-27に近い。なお、Su-27は第4世代ジェット戦闘機に分類されるが、新型Su-35はそれよりもさらに発展を遂げた第4++世代と呼ばれている。Su-35の開発が始まったのは2003年で、同年のドバイ航空ショーで初の模型展示が行われた。2008年には初飛行が行われ、2014年からロシア空軍での運用が始まっている。
機体概要
機体は、全長21.9m、翼幅15.3m、全高5.93mと、基本的にSu-27とほとんど変わらないサイズ。2軸型の推力偏向ノズルやCCV技術の向上により、カナード翼を取り払いながらも高い機動性を実現したのがトピックといえよう。また従来のフランカーファミリーでは背面ブレーキが採用されていたが、こちらも廃止された。エアブレーキの場所には代わりに燃料タンクが置かれ、燃料搭載量はSu-27と比べて22%増加。機体には電波吸収材料を用いることで、ある程度のステルス性能も確保している。また、チタン合金を広く用いることで機体強度は大きく向上。エンジンは、リューリカ設計局のAL-41F1Sを2基搭載。アフターバーナー無しでマッハ1.1で飛行可能なスーパークルーズ能力を持ち、最大速度はマッハ2.25に達する。
コックピット・アビオニクス
コックピットもSu-27や旧Su-35とは大幅に異なっており、正面に大型液晶多機能ディスプレイ(MFI-35)が2つ、左端に小型液晶ディスプレイ(MFPI-35)、右上に電子式姿勢指示計(ADI)が備えられ、近代的なグラスコックピットが採用された。当然ながらアビオニクスも強化され、 パッシブフェーズドアレイレーダー「イールビス-E」を搭載。これにより、一部のステルス目標や巡航ミサイルも探知可能で、空中目標なら30目標同時追尾・8目標同時交戦も実現している。操作系には3軸安定式4重デジタル・フライバイ・ワイヤも導入された。
バリエーション
バリエーションは、ロシア空軍向け量産型のSu-35S、輸出量産型のSu-35SKなどが存在するが、2022年現在においてロシア以外で運用しているのは中国のみ。
兵装
固定武装として「GSh-30-1機関砲」を搭載。これはSu-27と基本的には同じものである。主翼と胴体には合計12箇所のハードポイントが設定され、長距離空対空ミサイル「R-37M」、中距離空対空ミサイル「R-27」、「R77」、空対地ミサイル「Kh-29」、空対艦/対レーダーミサイル「Kh-31」、さらには誘導爆弾、無誘導爆弾など多彩な兵装を運用することができる。
エースコンバットでは?
エースコンバットシリーズでの初登場は、スピンオフ作品の「AH」。敵軍エース、マルコフが搭乗する機体としてお目見えした。その後は「INF」の参戦を経て、「7」では量産型としてSu-35Sがプレイアブル機体として収録された。また「7」のVRモードでは、自由エルジア軍がSu-35Sを運用している。新しい機体ゆえにシリーズでは最近の作品にしか登場しないが、第5世代機に劣らぬ性能を持つ強機体として描かれている。
主な兵装
・GSh-30-1機関砲(固定武装)
・R-27
・R-73
・R-77
・Kh-29
・Kh-31
Kh-31
ソビエト連邦で開発された中距離空対艦・レーダーミサイル。終末誘導にアクティブレーダー方式を用いる対艦型、パッシブレーダー方式を用いる対レーダー型がある。
R-73
ヴィーンペル機械設計局で開発された赤外線誘導式の短距離空対空ミサイル。ヘッドマウントディスプレイとリンクすることで、オフボアサイト射撃能力も持ち合わせる。
R-77-1
ヴィーンペル科学製造連合が開発したアクティブレーダー誘導の中距離空対空ミサイル。R-77-1は2009年に発表された改良型で、ECCM能力が向上したシーカーを採用する。