開発経緯
フランスのダッソー社が開発したマルチロール戦闘機がラファール。同じくマルチロール機のミラージュ2000や艦上攻撃機のシュペルエタンダールの後任となる機体で、第4.5世代ジェット戦闘機に分類される。1980年代、フランスをはじめイギリス、西ドイツ、イタリア、スペインが新しい戦闘機の共同開発を計画。しかし、フランスは自国のスネクマ社製エンジンの採用にこだわり、また艦上機として運用できることを重視したため、他国との共同開発に折り合いがつかなかった。そんな諸事情により、1985年に共同開発計画から脱退。その後、フランス独自で開発したのがラファールで、1986年に初飛行を実施。一方イギリスのBAe社、ドイツのMBB社が主導で開発したのがユーロファイタータイフーン(EF-2000)である。その後フランス海軍では2000年、フランス空軍では2002年から運用を開始。なお海外への輸出も積極的で、インド、エジプト、カタールなどでも運用されている。
機体概要
機体形状は、主翼とカナード翼を接近させたクロースカップルドデルタ翼を採用。1枚の大きな尾翼を持つのは先代のミラージュ2000と共通である。胴体には楕円形のエアインテークが左右2箇所設けられ、同時期に開発されたタイフーンよりも曲線的な造形となるのが特徴。このため限定的なステルス性能も有している。全長は15.30m、翼幅は10.90m、全高は5.34mと、ミラージュ2000よりひと回り大きく、タイフーンよりやや小型。エンジンはスネクマ社製M88-2ターボファンエンジンを2機搭載し、最大速度はマッハ2.0に達する。火器管制レーダーとして、RBE2パッシブ式フェーズドアレイレーダーを採用。欧州機としては初のフェーズドアレイレーダー搭載機となった。また、第5世代ジェット戦闘機に匹敵するセンサーフュージョン能力を持つのも特筆すべきポイント。コックピットは、タッチパネル式ディスプレイを採用したグラスコックピットとなり、現代の戦闘機らしいインターフェースを持つ。
兵装
翼端のミサイルランチャーを含め合計14箇所(海軍型は13箇所)のハードポイントに様々なミサイルを搭載可能。具体的には、短距離空対空ミサイル「R.550マジック」、空対空ミサイル「MICA EM/IR」、長距離空対空ミサイル「ミーティア」、対艦ミサイル「AM39ゼグゾセ」、巡航ミサイル「ASMP」、「SCALP-EG」、精密誘導爆弾「AASM」など多岐にわたる。なお、固定武装として「30 M791 30mm機関砲」を1門搭載。機関砲は、ステルス性に配慮して砲口がカバーされている。
バリエーション
バリエーションは、デモンストレーター機の「ラファールA」、空軍向け複座型「ラファールB」、同単座型「ラファールC」、海軍向け単座型「ラファールM」が存在する。なおラファールAは、GE社製F404エンジンを搭載するなど、以降の量産型とは仕様が一部異なる。なお、海軍向け複座型「ラファールN」も計画されたが、予算削減のためキャンセルされた。
エースコンバットでは?
エースコンバットシリーズでは初代から多くの作品で登場し、ファンにはおなじみの機体である。ほとんどが海軍機であるラファールMが登場するが、「5」では空軍の複座型であるラファールBがお目見えしている。艦載機ゆえ対艦ミサイルを運用できることが多く、旋回性能が優秀なこともあり使いやすい機体のひとつ。また、「ZERO」のライバル機体であるエスパーダ隊2番機をはじめ、女性パイロットが搭乗する印象も強い。今後もシリーズで重要な役目を果たす機体なのは間違いない。
主な兵装
・30 M 791 30mm機関砲1門(固定武装)
・R.550 マジックⅡ
・MICA IR/MICA EM
・ミーティア
・AM39 エグゾセ
・ASMP
・SCALP EG
MICA EM
MBDA社が製造する対空ミサイル。MCIA EMはアクティブレーダーホーミング式を採用し、米国のAIM-120と比較すると小型なのが特徴である。発射後の中間指令誘導も可能。
ミーティア
MBDA社が開発した視界外射程の空対空ミサイル。アクティブレーダー誘導方式を採用し、電波妨害を受けていても多目標攻撃を可能とする。欧州各国で運用されている。
AM39 エグゾセ
MBDA社が製造する対艦ミサイル「エグゾセ」。航空機発射型はAM39と呼ばれる。中途航程では慣性誘導、週末航程はアクティブレーダーホーミングによる誘導を行う。