開発経緯
マクドネル・ダグラス社が開発した艦上戦闘機がF/A-18E/Fである。これはF/A-18ホーネットを大幅改修した第4.5世代ジェット戦闘機で、「スーパーホーネット」の愛称で呼ばれている(これに対し、従来のF/A-18はレガシーホーネットと呼ばれる)。A-6艦上攻撃機の後継機として計画されたA-12の開発が中止されたことで、既存のF/A-18C/Dをベースとした大幅改修型が検討され、本機体の開発に至った。なお、F/A-18Eは単座型、F/A-18Fは複座型。1995年には単座型、その翌年には複座型の初飛行に成功し、1999年からアメリカ海軍での運用が開始された。またオーストラリアにも輸出され、空軍に配備されている。
機体概要
機体はF/A-18と比べて大型化し、全長は17.07mから18.38mへと延長。翼幅は13.62m、全高は4.88mとなった。全体的な形状は従来型に酷似しているが、主翼、尾翼、ストレーキ部分の面積が拡大されている。エンジンは、D型までのF/A-18に搭載されたゼネラル・エレクトリック社製F404から、発展型のF414に変更。これは完全自動化デジタル式電子制御システムを備え、推力制御の自動最適化を行うのが特徴。エアインテークは従来の曲線的な形状から並行四辺形になり、ステルス性にも配慮している。最大離陸重量は2万9938kgと大幅に向上する一方、最大速度はF/A-18C/Dのマッハ1.8に対し、マッハ1.6に留まる。アビオニクスはAN/APG-73のほか、AN/APG-79も搭載可能で、同時に多数の目標を処理することができる。
兵装
主翼と胴体下面に合計11箇所のハードポイントを有し、ここに多数の兵装が搭載可能となっている。具体的には、空対空ミサイルとして「AIM-7 スパロー」、「AIM-9 サイドワインダー」、「AIM-120 AMRAAM」、空対地ミサイルとして「AGM-65 マーベリック」、「AGM-154 JSOW」、空対艦ミサイルとして「AGM-84 ハープーン」を運用できる。そのほか、固定武装として「M61A1 20mmバルカン砲」、「マーク80シリーズ」投下型爆弾、精密誘導爆弾「ペイブウェイ」など、幅広い兵器が運用可能。
バリエーション
バリエーションは、単座のE型と複座のF型を設定する。2003年にはアップグレード型としてBlock2が登場。こちらはレーダーがAN/APG-73からAN/APG-79に変更され、これに合わせてレドームの素材も変わった。さらに2021年、最新改修型のBlock3がアメリカ海軍に配備された。こちらは、機体構造が強化され、設計寿命が1万飛行時間に延びたほか、タッチパネル式のアドバンスド・コックピット・システム(ACS)を採用したのがトピック。さらにコンフォーマルタンクが増設可能となったことで、戦闘行動半径を大幅に向上することができる。一方、派生機としては2007年から電子戦機EA-18G グラウラーの生産が開始されている。
エースコンバットでは?
エースコンバットシリーズでは「5」で初登場。こちらにはF/A-18Cの発展型として、単座型のF/A-18E、電子戦機EA-18Gが初収録された。「6」以降はF/A-18Cの代わりに複座のF/A-18Fのみが収録されることが多くなり、「7」のDLCでは最新型のBlock3がシリーズ初収録となった。また、映画「トップガンマーベリック」のコラボ機体と同時に、待望のE型が追加されている。エース部隊としてはエメリア空軍所属のアバランチ(ACE6)の搭乗機体として知られる。シリーズを通してマルチロックの4AAM、対艦ミサイルLASMなどを運用できるバランスのよいマルチロール機として収録され、愛用者も多い。
主な兵装
・M61A1 バルカン砲(固定武装)
・AIM-7 スパロー
・AIM-9 サイドワインダー
・AIM-120 AMRAAM
・AIM-132 ASRAAM
・AGM-65 マーベリック
・AGM-158B JASSM
・AGM-84 ハープーン
・マーク80シリーズ
AIM-120C AMRAAM
米国ヒューズ社が開発した中距離空対空ミサイル。アクティブレーダーホーミング方式を採用し、ミサイルの自律誘導を可能としたのが特徴。また、多目標攻撃能力も備える。
AGM-84 ハープーン
米国マクドネル・ダグラス社が開発した対艦ミサイル(空対艦型はAGM-84)。発射後は慣性誘導により飛翔し、最終段階ではアクティブレーダー方式により艦船に誘導される。
AGM-158A
米国ロッキード・マーティン社が開発した空対地スタンドオフミサイル。A型は自律飛行可能な巡航ミサイルで、ステルス性を考慮した形状。対空兵器の射程外から攻撃可能。