開発経緯
MiG-23の後継機として設計された制空戦闘機がMiG-29である。NATOコードネームは「フルクラム(Fulcrum)」。ロシアの代表的な第4世代戦闘機であり、アメリカのF-15、F-16に対抗するポジションと言われている。前身に当たるMiG-23は制空戦闘機として開発されたものの、格闘性能は旧式のMiG-21に及ばず、対地任務を主体としたMiG-27に発展していった。それに対しMiG-29は高い格闘戦闘能力を備えているのが特徴。開発はミコヤン・グレヴィッチ設計局が担当し、1977年に初飛行が行われた。1983年にソ連空軍に配備され、ロシア空軍になった現在も運用中。そのほか、ベラルーシ、ウクライナ、スーダンなどでも運用されている。
機体概要
機体は、全長17.32m、翼幅11.36m、全高4.73mの中型機で、F-16とF-15の中間くらいの大きさ。また、同じロシア機であるSu-27フランカーと比べると、ひとまわり以上小型である。操縦装置はフライ・バイ・ワイヤ式ではなく、旧来のリンク機構による機械式を採用。全遊動式の水平尾翼、2枚の垂直尾翼を持ち、外観はSu-27フランカーとよく似た形状となっている。エンジンはクリーモフ製RD-33を2機、胴体下に搭載。これにより最大速度はマッハ2.25(MiG-29SM)に達する。
兵装
兵装は、固定武装として「30mm口径 GSh-30-1機関砲」を1門装備。ハードポイントは左右主翼下に3箇所、胴体に1箇所(増槽専用)の計7箇所があり、中距離空対空ミサイル「R-27」、アクティブレーダー誘導式の中距離空対空ミサイル「R-77」、短距離空対空ミサイル「R-60」や「R-73」などを搭載可能。そのほか、投下型爆弾やロケット弾ポッドなど各種対地攻撃兵装も搭載できる。
バリエーション
バリエーションが非常に多彩なこともMiG-29の大きな特徴で、基本形の単座型MiG-29(フルクラムA)、複座型練習機MiG-29UB(フルクラムB)、艦載機MiG-29K(フルクラムD)、2002年に大幅改修された新世代のMiG-29M/MiG-29M2(フルクラムE)などが存在する。さらに、MiG-29M/MiG-29M2から発展させた最新鋭の量産型MiG-35(フルクラムF)も開発され、2019年からロシア空軍で運用が開始されている。
エースコンバットでは?
エースコンバットシリーズにおいては、「6」と「3D」を除く全ての作品で登場するなど、シリーズの常連機体である。比較的序盤に入手できることが多いため、初期機体からまずこれに乗り継ぐプレイヤーも多い。それなりの機動力を備えながらも低コストというのがMiG-29における最大の魅力となっているが、特殊兵装はロケットランチャーやUGBなどがやや使いにくいものが多く、上位のフランカー系機体に見劣りする場面も目立つ。敵エース機体として扱われたことがなく、シリーズ常連ながらもやや地味な印象は拭えないものの、エースコンバットに不可欠な機体と言えるだろう。
主な兵装
・GSh-30-1機関砲(固定武装)
・R-27
・R-73
・R-77
・R-60
・Kh-29
・Kh-31
R-73
ヴィーンペル機械設計局で開発された赤外線誘導式の短距離空対空ミサイル。ヘッドマウントディスプレイとリンクすることで、オフボアサイト射撃能力も持ち合わせる。
Kh-31
ソビエト連邦で開発された中距離空対艦・レーダーミサイル。終末誘導にアクティブレーダー方式を用いる対艦型、パッシブレーダー方式を用いる対レーダー型がある。
R-77-1
ヴィーンペル科学製造連合が開発したアクティブレーダー誘導の中距離空対空ミサイル。R-77-1は2009年に発表された改良型で、ECCM能力が向上したシーカーを採用する。